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技術と品質の追求
芦屋釜の里では、全国に残る芦屋釜の調査・研究を基に、芦屋釜の復元と鋳物師の養成を行っています。養成期間は16年。その間、室町時代の名品に迫るべく、先人達の高い技術力と精神性を紐解きながら、現代の芦屋釜の技術と品質の向上に取り組んでいます。
「和銑」と「薄作」
ここに素材と製品についての2つのこだわりを紹介します。
和銑
釜の素材には「和銑(わずく)」を用います。和銑とは、砂鉄を木炭で製錬し、取り出した希少な鉄のことです。江戸時代までは、輸入鉄などの特殊な例を除き、和銑を用いて釜を造っていました。なお、近代以降の鉄鉱石をコークスで製錬してできた鉄を洋銑(ようずく)とよんでいます。和銑の特徴は、洋銑に比べて極めてさびにくく長年の使用にも耐えることです。そのため、茶の湯釜には適した素材です。
薄作
釜は「薄作(うすさく)」で造ります。調査を進める中で、室町時代の芦屋釜は、総じて釜の胴部の厚みが薄いことがわかってきました。すなわち、持ち上げると軽いのです。特に薄いものでは厚みが2ミリ~2.5ミリ程度しかなく、通常の釜からすれば極めて薄作りです。この厚みで製品を仕上げるには、非常に正確な鋳型造りが要求されます。「使い勝手の良い薄く軽い釜造りを目指す。」このことも、現代の芦屋釜がこだわる要素です。